船の上での1学期:「インパクトを与えよう!」Semester at Seaでの活動
こんにちは。そろそろ今学期も終わりが見えてきたまなみです。アメリカの大学は、通常は5月の中旬まで春学期がありますが、Semester at Seaの学期は短く、4月21日に終着地のアムステルダムに着きます。
これから期末試験や最後のレポートなど課題が多い上に荷造りも始めなければならないので、忙しくなりそうです。
さてSemester at Seaでは2日に1回のペースでミーティングを行い、多くの学びを共有したメンバーがいます。今回は、そのメンバーとの活動をお伝えします。

IMPACTという選抜グループ
このグループは、名前の通りインパクトを与えることをミッションとしています。船の中だけでなく、訪れた国、そして自分たちのコミュニティにインパクトを与えることができる15人ほどが選ばれました。
私もこのグループに選ばれ、この3か月間ミーティングやアクティビティにかかわってきました。
IMPACTは、数年前にSemester at Seaに参加した家族の意思で、今年に始まった活動です。Semester at Seaでは、さまざまな国のフィールドプログラムに参加できますが、これらの活動は受け身の学びが多いという意見があって、その意見をもとにつくられました。この活動にかかる費用はすべてその家族の奨学金でカバーされます。
インドでの活動

IMPACTの最初の活動の舞台はインドです。港から飛行機でムンバイに飛び、そこのNGOを訪れました。
このNGOは、親がsex workをしている子、生き延びるために国境を超えてきた子、または奴隷のように大人に売られた子などを救い、教育を通して自立できるように支援しています。
その子たちの多くがレッドライト・ディストリクトから来ています。レッドライト・ディストリクトとは、数多くのsex workerが仕事を求めて道に立っている、そんな場所です。売春宿のようなところもあります。
そのNGOを訪れる前に、私たちはそうした場所の劣悪な衛生環境であったり、そこで女性たちが働かなければならない状況などを事前に学んでいました。
そんな子どもたちとどのように接していいのか、会話ができるのだろうか、と心配していましたが、とにかく明るい女の子たち、というのが最初の印象でした。
しかし、アクティビティを通して彼女たちのヒストリーを聞くと、想像を超える体験をしてきたことを改めて思い知らされます。目の前に彼女たちがいるのに、だれかまったく知らない人の話を聞いている、そんな感覚に何度もなりました。
Sex workと聞くと、いろいろなイメージが浮かんでくると思います。ただ、他の選択肢の存在を知らないような環境に住んでいる人もいるのです。
家族を守るため、子どもに教育を受けさせるためにその仕事を選択せざるを得ず、そしてその仕事に全力で取り組んでいる、そんな人もいます。
とくに記憶に残っているのは、「レッドライト・ディストリクトは私たちの大事な故郷です」という言葉です。そこにはコミュニティがあり、社会があり、家族があり、愛があるのです。
南アフリカでの活動

2つ目の活動は南アフリカで行いました。ここでは、環境保護や地域の子どもたちの教育にフォーカスしたNGOを訪れ、森林を歩いて植物や虫の生態を学んだり、教育現場を見学したりしました。
このNGOは規模も大きく、しっかりとしたシステムができているようでした。そのせいか、どちらかといえば受け身の学びが中心の3日間になってしまいました。
個人的には、このNGOがかかわっているリゾートホテルがどのように環境問題に取り組んでいるのかに興味があり、それを知ることができたプレゼンテーションが記憶に残っています。
船上での活動
さて、インパクトを与えるのがIMPACTのミッションだと書きましたが、実際はインパクトを与えられてばかりの経験でした。
金銭面でのインパクトは与えています。たとえば、上述の2つのNGOにはSemester at Seaからある程度の額のお金がプレゼントされています。しかし、「1人ひとりの学生がインパクトを与えているのか」と問われれば、NOと答えざるを得ません。
そこで私たちは、自分たちが学んだことを船のコミュ二ティにシェアすることによって、まずは船の中でインパクトを与えることにしました。
たとえば、夕方にセミナーを開きインドで行ったアクティビティを再度行ったり、プレゼンテーションやパネルディスカッションを通して自分たちの活動を知ってもらったりしています。
まとめ
私はアメリカの大学ではクラブに参加していません。そのため、IMPACTのようにメンバーと定期的に集まり、多くの時間を共有する体験はとても新鮮です。
それまでのボランティアや課外活動の実績から選ばれたメンバーということもあり、全員がそれなりのパッションをもっています。そのパッションの方向性や価値観、バックグラウンドはみんな違います。おかげでとてもユニークで、多様性に富んだグループだと思います。
びっくりするほど居心地がよく、決して全員がBest friendsではないけれども船の中で良い距離感を保てる、そんな理想の空間になっています。そんなIMPACTのメンバーに選んでもらえたことを、私はひそかに誇りに思っています。
投稿日:2020年04月08日(Wed)

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